AIDS・HIV感染者の口の中の病気
初発症状の現われやすい口の中
HIV感染者は、口の中の粘膜に白い病変がみられることがあります。しかも初発症状として現れることが多く、その事がきっかけでHIV感染を知る事もあります。もし口の中に治りにくい白い病変があったら専門医の診察を受けて下さい。
なぜ検査を受けることが必要なのでしょうか?
米国ではHIVに感染している人の70%が自分の感染を知っています。日本ではHIVに感染している人の30%未満しか、自分の感染を知らないと考えられています。またHIV検査を受けるのはあくまでも自分の意志です。自分に感染の可能性(自覚)がある人か、あるいは非感染を確認したい人以外は、積極的に検査を受けていません。
なぜ早期発見が必要なのでしょうか?
早期に発見することで、治療の機会が早くなります。またよい薬があるので、長期生存の可能性が高まります。さらにパートナーへの感染を予防できる可能性があります。 では口の中の白い病変とはどのようなものなのでしょうか?
HIV感染症の口腔粘膜症状には様々なものがあります。その出現頻度に関しても多くの報告があります。田上は250例のHIV感染患者に対して調査を行った結果、60%に口腔内に不快感を感じ、28.4%に口腔内症状がみられました。最も多く発現したのはカンジタ症で34.1%、口腔乾燥29.7%、次いでアフタ性口内炎11.3%、毛状白板症(もうじょうはくばんしょう)7.0%、帯状歯肉紅斑(おびじょうしにくこうはん)7.0%の順と報告しています。 その他にも白色病変ではありませんがAIDSの代表的な口腔内悪性新生物としてカポジ肉腫があります。
なぜ検査を受けることが必要なのでしょうか?
米国ではHIVに感染している人の70%が自分の感染を知っています。日本ではHIVに感染している人の30%未満しか、自分の感染を知らないと考えられています。またHIV検査を受けるのはあくまでも自分の意志です。自分に感染の可能性(自覚)がある人か、あるいは非感染を確認したい人以外は、積極的に検査を受けていません。
なぜ早期発見が必要なのでしょうか?
早期に発見することで、治療の機会が早くなります。またよい薬があるので、長期生存の可能性が高まります。さらにパートナーへの感染を予防できる可能性があります。 では口の中の白い病変とはどのようなものなのでしょうか?
HIV感染症の口腔粘膜症状には様々なものがあります。その出現頻度に関しても多くの報告があります。田上は250例のHIV感染患者に対して調査を行った結果、60%に口腔内に不快感を感じ、28.4%に口腔内症状がみられました。最も多く発現したのはカンジタ症で34.1%、口腔乾燥29.7%、次いでアフタ性口内炎11.3%、毛状白板症(もうじょうはくばんしょう)7.0%、帯状歯肉紅斑(おびじょうしにくこうはん)7.0%の順と報告しています。 その他にも白色病変ではありませんがAIDSの代表的な口腔内悪性新生物としてカポジ肉腫があります。
口腔カンジタ症
カンジタ菌は口腔常在菌で、普通誰にでも認められるものです。従ってHIV感染に関連した口腔内病変で最も多く出現するのは当然で、詳細に観察すればHIV感染者のほぼ全員に出現すると言われています。
- ◇
- 特徴
- HIV感染の初発症状として出現することが多く、免疫機能低下のサインであり、感染の進行度を示します。また病変は擦過すると取れます。
- ◇
- 症状
- 口腔の不快感、痛み、口臭、味覚異常など
口腔カンジタ症 写真@
口腔カンジタ症 写真A
口腔カンジタ症 写真B
毛様白板症(もうようはくばんしょう)
HIV感染のあらゆる時期に出現します。
- ◇
- 特徴
- 無症状で白色の縦状の皺として舌の側縁にみられ、時には、舌背部、頬粘膜、口腔底にみられますが、口腔底に出現したものは平坦です。 日本での発現頻度は欧米に比べて低いとされています。 抗真菌剤で消失せず、擦過しても取れないことから、口腔カンジタ症と鑑別診断できます。
- ◇
- 症状
- ほとんどが無症状です。
毛様白板症 写真@
毛様白板症 写真A
アフタ性口内炎
再発性アフタを持っている人がHIVに感染すると、出現頻度が増加し、症状も悪化することが知られています。時には大きな潰瘍に発達することもあります。
- ◇
- 特徴
- アフタ性潰瘍は通常1〜2週間ほどで治癒しますが、HIV感染者では治癒が遅れ数週間に及び、まれに数ヶ月ということもあります。
- 限局性で丸く、時に中央に黄淡色の偽膜に被われた円形発赤、歯肉と硬口蓋を除く口腔粘膜に出現します。好発部位は口唇、舌、軟口蓋です。
アフタ性口内炎 写真@
アフタ性口内炎 写真A
カポジ肉腫
この病変が口腔内に存在すればほぼ100%HIV陽性と考えてよいと思われます。HIV感染症のすべての病期にみられます。
- ◇
- 特徴
- 硬・軟口蓋が好発部位で、赤紫、あるいは青い斑、または結節(けっせつ:こぶ状のしこり)を呈します。歯肉や舌にも出現しますが、口蓋以外のものは進行も早く、予後も悪いと言われています。
- ◇
- 症状
- はじめは無症状ですが、外傷あるいは潰瘍を形成すると症状を表し、大きさも大きくなります。極端に大きくなったものは会話や嚥下、咀嚼の妨げとなります。
カポジ肉腫 写真@
カポジ肉腫 写真A
文献
- ・
- 加藤真吾、前田憲昭 他: HIV感染症の拡大予防に歯科医の力を!HIV検査機会の提供マニュアル〜口腔内の白色病変を見つけたら〜.平成21年度厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業(HIV検査相談体制の充実と活用に関する研究)(歯科受診者に対するHIV検査相談会の検討)2010
- ・
- 田上正:AIDSの口腔粘膜病変. 病理と臨床 2008, 26(6): 603-609