子供の歯・乳歯の虫歯と治療法
特徴・症状・治療法・予防
子供の歯(乳歯)は大人の歯(永久歯)とは違った特徴があります。そのために乳歯の虫歯は、その発生部位や進行状態も永久歯とは違っています。今回は乳歯の特徴、虫歯の発生部位、進行とその症状、治療法そして予防について説明します。
特徴
- 1.
- エナメル質、象牙質とも薄い。
- 2.
- 有機質量が多く、無機質の結晶が少ないので歯が軟らかい。
- 3.
- 神経(歯髄)の発達が著明なため一つの歯に占める歯髄の割合が大きい。
- 4.
- 歯髄の生活力は高いが、感受性は低い。
- 5.
- 象牙質の再生(第2象牙質)が速やかで、かつ多い。
- ・
- 1、2の理由により乳歯の虫歯は進行が早いことです。
- ・
- 3のため治療は神経を取る根管治療となる可能性があります。
- ・
- 4のため永久歯の虫歯初期にみられる冷水痛は少なく、自覚症状は進行してからの咬合痛として出現することがあります。
- ・
- 3、5の理由により虫歯と歯髄の層を一層残しても治療が可能です。
このような乳歯の特徴から子供が歯の痛みを訴えてきた時にはすでに虫歯がかなり進行した状態です。定期検診と仕上げ磨きのときの虫歯チェックを忘れないようにして下さい。
虫歯の年齢別発生部位
- 0〜2歳
- 歯と歯肉の境目。特に上の前歯は早い時期に虫歯になりやすいところです。
- 2〜3歳
- 奥歯の噛む面(咬合面)の溝、前歯の歯と歯の間。特に生えてきたばかりが一番虫歯になりやすいときです。
- 3〜5歳
- 奥歯の溝、奥歯の歯と歯の間、前歯の歯と歯の間。
- 6歳〜
- 生えたての永久歯。
危険ゾーンの拡大図
特に3〜5歳の奥歯の歯と歯の間の見た目はわからない場合が多いため必ず歯科医院で診てもらいましょう。見た目にわかった場合は歯髄まで進行している可能性があります。
奥歯の歯と歯の間の虫歯 初期
エックス線写真
奥歯の歯と歯の間の虫歯 少しかけている
エックス線写真
奥歯の歯と歯の間の虫歯 大きな穴があいた
エックス線写真
虫歯の進行とその症状
- 1.
- 象牙質までの虫歯
C2:“一時的な痛み”では虫歯は軽度です。
象牙質までの虫歯|C2
- 2.
- 歯髄に達する虫歯
C2〜C3:“たびたび起こる痛み” “持続的な痛み”では虫歯はかなり進行しています。
歯髄に達する虫歯|C2〜C3
- 3.
- 歯髄を伝って根の先まで感染した虫歯
C3〜C4:“ズキンズキンという痛み” “ころげ回るほどの痛み”は歯髄まで害を及ぼしています。歯髄が死んで根の先に膿を持つこともあります。
歯髄を伝って根の先まで感染した虫歯|C3〜C4
虫歯が原因でこんなに腫れてしまうこともあります。
治療法
- Co :
- 歯の表面が白濁したり、噛む面の溝が茶色になったりしています。
自分で虫歯になった原因を改善し、健康的な生活を維持すれば自然回復します。または、歯科医院で予防処置をしてもらいましょう。
- C1〜C2:
- エナメル質だけの穴C1から象牙質まで達する穴C2
穴を詰めてもらう治療で十分治ります。
コンポジットレジン充填(臼歯部)
- C3 :
- 虫歯が歯髄まで進んでいます。
神経の根の治療をして、穴の大きさにより詰めたり、冠をかぶせたりします。
インレー
クラウン
- C4 :
- 歯が欠けていき根だけになってしまいます。
根の治療をして冠をかぶせるか、保存できない場合は歯を抜きます。
C0
C1
C2
C3
C4
虫歯の予防法
- 1.
- 虫歯にならないように歯質を強化
フッ素を使用する(フッ素洗口、フッ化物歯面塗布、フッ素含有歯みがき剤の使用) - 2.
- 虫歯菌の餌になる砂糖のとり方を変える
キシリトールを使用する - 3.
- 神虫歯菌の餌になる砂糖のとり方を変える
キシリトールを使用する - 4.
- 生活習慣の改善
食事やおやつの取り方、規則正しい生活。
- 引用・画像提供
- 子どものための歯と口の健康づくり / 医歯薬出版株式会社