口腔乾燥症 / ドライマウス
ドライマウスに伴う症状と治療法
「口腔がん」を予防しよう!
近年、私たち開業歯科医院において口の乾き(口腔乾燥症、ドライマウス)を訴えて来院する患者さんが増えてきております。さらにそれに伴い「舌が痛い」「味覚がおかしい」といった悩みの訴えがみられます。
このような患者さんが増加した背景には口腔乾燥の病態を表す用語としてドライマウス(dry mouth)が世間で用いられることが多くなり、ドライアイ、ドライスキンなどとともに一般の人にもわかりやすくなったことも一因と思われます。では口腔乾燥症(ドライマウス)とは一体どのような病気で、その治療法とは・・・
近年、私たち開業歯科医院において口の乾き(口腔乾燥症、ドライマウス)を訴えて来院する患者さんが増えてきております。さらにそれに伴い「舌が痛い」「味覚がおかしい」といった悩みの訴えがみられます。
このような患者さんが増加した背景には口腔乾燥の病態を表す用語としてドライマウス(dry mouth)が世間で用いられることが多くなり、ドライアイ、ドライスキンなどとともに一般の人にもわかりやすくなったことも一因と思われます。では口腔乾燥症(ドライマウス)とは一体どのような病気で、その治療法とは・・・
口腔乾燥とは
従来より口腔乾燥は水分の不足によって口が渇くものと、何らかの原因によって唾液の流出が悪くなって口が渇くものとが混在していました。すなわち単なる水分不足で口が渇くものは、水分を補給することによって改善する生理的現象であって病気ではありません。
従って、口腔乾燥症(ドライマウス)とは唾液腺の機能異常やその他の原因で、水分の補給では改善しないものです。さらに唾液腺の機能異常もなくその他の原因もない「口腔機能の低下」による口腔乾燥も口腔乾燥症(ドライマウス)のひとつです。
従って、口腔乾燥症(ドライマウス)とは唾液腺の機能異常やその他の原因で、水分の補給では改善しないものです。さらに唾液腺の機能異常もなくその他の原因もない「口腔機能の低下」による口腔乾燥も口腔乾燥症(ドライマウス)のひとつです。
ドライマウスの原因
ドライマウスに伴う症状
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- 口が渇いて会話がしにくい、食事がしにくい
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- 口の渇きで夜、目が覚めてしまう
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- 舌の痛みや舌のひび割れ
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- 味覚障害
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- 口内炎、口角炎
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- 虫歯や歯周病
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- 口臭
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- 口腔カンジタ症
治療法
残念ながら根本的な治療法はありません。人工唾液、口腔乾燥症状改善薬や保湿剤や含嗽剤(うがい薬)などによる対症療法に頼らざるを得ないのが現状です。さらに口腔機能低下によるドライマウスは口腔機能訓練が有効です。
そして人工唾液や口腔乾燥症状改善薬の使用はシェーグレン症候群や頭頸部放射線照射後のドライマウスなどに限定されています。
そして人工唾液や口腔乾燥症状改善薬の使用はシェーグレン症候群や頭頸部放射線照射後のドライマウスなどに限定されています。
人工唾液・口腔乾燥症状改善薬の適応症
- 人工唾液(サリベート)
- 頭頸部放射線照射後のドライマウス
- 塩酸セビメリン
(エボザック、サリグレン) - シェーグレン症候群
- ピロカルピン塩酸塩(サラジェン)
- 頭頸部放射線照射後のドライマウス
シェーグレン症候群保湿剤の考え方
保湿には口腔粘膜への直接的な保湿と、蒸散防止としての保湿があるため、主となる作用を理解して選択します。
保湿剤の第一選択肢としては、絹水(サンスター)やオーラルウェット(ヨシダ)がお勧めです。なかでも、スプレータイプは使いやすく効果も期待できます。一般的な使用方法としては、スプレーを口腔内へ5〜6回程度噴霧した後、舌を動かして保湿液をなじませます。使用回数は症状の程度によりますが、中程度の症状で3〜4回/日、重症例では5〜6回以上/日がよいでしょう。
食事中や食事直後はある程度の刺激唾液が分泌されているため、食後1?2時間ほど経った食間の時間帯に用いると効果的です。また、バイオティーンオーラルバランス(ティーアンドケー)はジェル状のため、口腔内への停留が期待できます。重度の口腔乾燥症では、保湿スプレーの使用後ジェルを塗ることによって蒸散を防ぎ、より高い保湿効果の持続が期待できます。オーラルウェット(ヨシダ)バイオティーンオーラルバランス含嗽剤(うがい薬)の考え方
含嗽剤(うがい薬)は、口腔内清掃、感染予防、湿潤、清涼感、口腔内不快感の除去のために効果的です。毎食後のブラッシングの後に希釈した含嗽剤(アズレイうがい液、イソジンガーグル、ネオステリングリーンなど)で含嗽を行うとよいでしょう。アズレイうがい液イソジンガーグル口腔機能訓練法
舌の運動機能の評価およびトレーニング方法
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- 舌の前方出挺
舌を前方へ伸ばす- A
- 舌尖の口角への移動
舌尖で左右の口角を触る- B
- 舌での頬押し
舌で頬を最大限の力で押す
舌の力が弱いと,外からの力で戻ってしまう- C
- 舌尖の拳上
開口した状態で舌尖部で硬口蓋を触り,そのまま離さずに前後にすべらせる(無理な場合は一横指分からでもよい)口唇・頬の運動機能の評価およびトレーニング方法
- @
- 頬の膨らまし
頬を膨らませ,口元から茎が 漏れないことを確認する- A
- 頬の吸い込み
頬にくぼみができるくらい吸い込む- B
- 口唇を尖らせる
「ウー」と言い,口唇部を前へ突き出す- C
- 口角を引く
「イー」と言い,左右の口角を引く画像提供
ドライマウスの原因 / 日本口腔外科学会雑誌2009年4月号
口腔機能トレーニング方法 / デンタルハイジーン:医歯薬出版株式会社